毎週土曜日は新生児当直

周産期

毎週土曜日はボーで新生児当直

今日も病棟には、重症の子達がたくさんいます。

その中の一人は、3日前に院外から搬送されて入院した赤ちゃんです。搬送の理由は、痙攣と発熱。自宅で出産して、2日後に送られてきました。

すでに、理事長が来た時には、もう呼吸もとまりそうです。

心拍も弱ってきていて、アドレナリンとマスクバックで蘇生をすると、心拍は上昇して、血中の酸素も上昇します。

あーまたこのパターンか。。いつまでバックを押せばいいのか。。。

これいつまで続ければいいかな?と一緒に蘇生しているナースのマーサに聞くと、

「心臓動いているあいだは続けます」と。

「でも、モニターには心拍60って出ているよ」と、理事長。

「こんなの当てにならないわ、聴診器でちゃんと聴いてください」

「はい。。。」

この時点で、もう理事長的には、蘇生は無理だと諦めていました。

いつまでやればいいのかなーと思いつつ、血中酸素飽和度が上昇したところで一回バックを押すのをやめて、経過をみることに。

するとマーサが自分で蘇生を開始しました。

ここは彼女にまかせて、理事長はもう一人の重症の子を見に行きます。

しばらくして戻ってくると、なんと呼吸が戻ってきています。しっかりした呼吸というわけではありませんが、少なくとも血中酸素飽和度を90%くらいには自力で保っている。

何がおきたの?とナースに聞くと、諦めないでずっとバックを押し続けていたら、呼吸がもどってきた、とのこと。

マーサは、いつも献身的に赤ちゃんたちを看てくれています。理事長が頼りにしているナースの一人。室温が40度を超える、このサウナ風呂のような新生児室で、ずっと立ちっぱなしで、頑張っています。

ベビーのほうは苦しそうな呼吸ですが、自発呼吸がもどってきたみたいです。

こっちはひとまずマーサに任せて、理事長は次の髄膜瘤のベビーを診に行きました。

午後5時。だいたいみんな落ち着いてきて、ひとまず休憩。マーサは日勤シフトなので、ここで終わりです。マーサいないと、ちゃんとベビー見る人いないから、心配だなーと思いつつ、まぁ勤務なので仕方ありません。

夜の9時ころに停電がありました。

ほんの数分でしたけど、なんか嫌な予感。

病棟にさっきの奇跡的に呼吸が戻ったベビーを見にいくと、すでに呼吸もとまり、心拍も50をきっています。

あーやっぱり、、、

おまけに病棟にはナースが一人もいない。

どこに行ったかとおもえば、隣の部屋でみんな寝ている。。。

いけないとは思いつつも、大声で、「ここの受け持ちだれだーーーー!!」と怒鳴ってしまいました。。。

最初は大声だしましたが、まぁやっぱり怒ったら負けです。

担当のエリザベスが反省した様子だったので、そのあとは怒鳴りませんでした。

ちょっとだけ怒ったけど。。。

途上国で医療する人たちの共通の悩みは、ナースや医療従事者の意識の低さです。

患者が目の前で死にそうでも、となりで飯食っている。

私の担当ではないから、と。

ここでも、夜になれば、みんな寝てしまう。

こんなに重症な赤ちゃんばかりなのに。

ところが、こんな中でも、めちゃめちゃ献身的に働くナースもいる。

マーサみたいに。

たぶん、人間は、日本人もシエラレオネ人もみな同じ。

この過酷な環境で勤務していれば、日本人だってきっと同じように行動する人がいても不思議ではないと思います。

そういう献身的な人が多いか少ないかの問題なのでしょう。

でもこちらでは、そういう献身的な人が圧倒的に少ないような気もしますが。。

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