「かたあしだちょうのエルフ」と「花さき山」

本の紹介

「かたあしだちょうのエルフ」おのき がく 作


エルフは大きくてりっぱなおすのダチョウです。

いつもこどもたちから慕われていました。大きくて強くて、そしてやさしい。

ある日、ジャッカルが村を襲います。

エルフは、ライオンのなきごえの真似をして、ジャッカルたちを退散させます。

村の動物たちは、エルフにとても感謝します。

ところがある日、今度はほんもののライオンがおそってきます。

「みんな、はやくにげるんだ。ライオンは ぼくが ひきうけるぅ。」

激闘のすえ、エルフはライオンを追い払いました。

みんなは喜んでエルフのそばにかけよってきます。そこでみたものは。。

片足をもぎとられてしまった、痛々しいエルフの姿でした。

森には平和がもどってきました。

でもエルフは前のようにこどもたちと遊べません。

なにより自分のたべものを手に入れることも難しくなってしまいました。

はじめは助けてくれた村の動物たちも、しだいにエルフのことを忘れ行きます

みんな自分の生活におわれいたのでしょう。

痩せほっほそっていくエルフを、ハイエナやはげたかがエサにしようとねらっています。

エルフはなにもできず、もうずっとひとところにたっているばかりでした。

なみだが ひとつぶ かわいた くちばしを つたって、ぽつんと あしもとの すなに すいこまれました。

「かたあしだちょうのエルフ」 おのきがく

そんなある日のこと。

黒豹がむらのどうぶつたちを襲います。逃げ遅れたこどもたちがねらわれしまいます。

エルフはこどもたちに

「みんなぼくの背中にのれ」と言って黒豹とたたかいます。

エルフは さいごの ちからを ふりしぼって たたかいます。せぼねは みんなの おもみで いまにもおれそうです。いっぽんあしには くろひょうの きばと つめで ちのすじが いくつも できました。

「かたあしだちょうのエルフ」おのきがく

とうとう黒豹は降参して逃げて行きました。

そして、死力をつくして戦ったエルフは。。。

最後にエルフはどうなってしまったのでしょうか。

エルフは、大きな一本の木になっていました。

大きな木になったエルフは、一年中涼しい木陰を、みんなに与えたのでした。

*********

実は、他人を利する行動は、最終的には自分の得になることが知られています。

情けはひとのためならず、というやつですね。

このへんのことは、こちらの本をよんでみてください。

しかし、このエルフのお話しを読むと、自己の利益なんて頭にない行動を人間はとることがあるのでは、と思ってしまいます。

それは一体何なんなのでしょうか。

次にご紹介する絵本は、それに少し答えてくれているような気がします。


「花さき山」斎藤隆介 作 滝平二郎 絵

この二人の作品はとても有名ですね。

「もちもちの木」「半日村」などなど。

小学校の教科書にもよくのっていますね。

さて、このお話しに出てくる”あや”は、小さな女の子です。

山菜採りに山にはいったところ道に迷ってします。

たどり着いた先の山奥一面に、きれいな花がさいているのに、あやはびっくりしています。

そこで、あやはやまんばと出会います。

やまんばは、なんでこんな山奥にきれいな花が一面に咲いているのか、あやに話してくれます。

実は、この花は、里で、人間がやさしいことを一つすると、一輪づつさいていくのです。

あやの足元に咲いていた小さな赤い花。

それは、きのうあやが、ちいさな妹のために、祭りにきていくべべが欲しかったのを我慢して、「妹のそよにかってあげて」、とおっかあに言った時に咲いた花でした。

せつない思いして、やさしいことをすると花がさく。

花さき山いちめんの花はみんなこうしてさいたんだ。つらいのをしんぼうして、じぶんのことより、ひとのことをおもって、なみだをいっぱいためて、しんぼうすると そのやさしさと、けなげさが、こうして花になって さきだすのだ。

「花さき山」斎藤隆介・作 滝平二郎・絵

花ばかりではなく、山も男たちがいのちをすてて、やさしいことをしたから うまれた。

八郎潟の八郎しかり

おいだら山の三コしかり

やさしいことをすれば はながさく

いのちをかけてすれば やまがうまれる

と、やまんばは教えてくれました。

あやが山から帰って、大人たちにこの話をすると、誰も信じてくれません。

あやももう一回、一面の花を探しますが、もう見つかりませんでした。

*********

この2つのお話しに共通しているのは、エルフもあやも、別に自分の利益のために、人にやさしくしているわけではないですね。

しいてあげるとすれば、

やさしいことをすれば、この世界といっしょになれる、ということでしょうか。

なんとなくわかったようなわからないような笑

今日はこのへんで。

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